| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-198 (Poster presentation)
気候変動は陸域生態系に様々な影響を与えることが予想されており、その早期検出を目指した観測研究の検討が開始されている。しかし、影響予測には多くの変動要因を伴っており、推定不確実性の幅を求めることは容易ではない。そこで、ポツダム気候変動影響研究所(PIK)の主導の下、生態系を含む様々なセクターに関する影響モデルの相互比較プロジェクト(ISI-MIP)が実施されている。そこでは、第一に将来の大気中温室効果ガス濃度パス、第二に気候モデルによる予測、第三に影響評価モデル、それらの各段階で複数のシナリオ・モデルを用いることで不確実性の幅を示すことを目的の1つにしている。実際には農業・水資源・健康など様々なセクターの影響評価モデルが参加しており、これらセクター間にまたがる横断的影響の評価が特に重視されている。その初期成果は学術誌から特集として出版され、IPCC第5次報告書に引用されるなど重要な貢献を果たした。現在は第2フェーズに移行し、より広範なセクター、学際的解析を目指した予測計算と解析が進められている他、特定の地域に焦点を当てた解析が行われることになっている。本発表では、ISI-MIPに参加している国立環境研究所グループの生態系モデルによる成果を紹介する。特にアジア地域および極域における生態系炭素収支の顕著な変動とその予測不確実性に注目した解析結果を示し、それを踏まえたリスク評価や適応戦略に関する議論を行いたい。