| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-220 (Poster presentation)

冷温帯シバ草原における温暖化操作実験-定点カメラを用いた地上部バイオマスの連続測定-

*岡本遥(早稲田大・教育),墨野倉伸彦,田波健太,鈴木真祐子(早稲田大・院・先進理工),小泉博(早稲田大・教育),坂巻義章(早稲田大・理工総研)

バイオマスの非破壊的測定には様々な手法があるが、その中でもデジタルカメラ法は安価で操作が容易であり、連続測定が可能であるというメリットがある。デジタルカメラ法を用いた先行研究は主に森林を対象としており、草原を対象としている研究は少ない。また、温暖化の影響や解決策を明らかにするために草原生態系に対する影響を調べることは重要である。そこで本研究では、デジタルカメラを定点カメラとして用いて草原生態系のバイオマス測定法を確立し、シバ地上部バイオマスに焦点を当て、温暖化による影響を明らかにすることを目的とした。

実験は岐阜県高山市乗鞍のシバ草原で、5月から11月まで行った。温暖化操作実験には赤外線ヒーターを使用し、温暖化区と対照区を4区画ずつ用意した。全ての区画に定点カメラを設置し、4時間おきに撮影するよう設定した。撮影した画像のRGB値から算出した植生指標GEIを求め、相関式を用いてバイオマスの季節変化を算出した。相関式は刈り取り法で測定したバイオマスと、画像から算出したGEIを用いて作成した。

バイオマスとGEIは正の相関(R2値=0.69)を示した。しかし、バイオマスが200g D.W. m-2よりも大きくなるとGEIの値が頭打ちになることがわかった。作成した相関式を用いて、温暖化区と対照区においてバイオマスの季節変化を算出した。バイオマスの最大値は温暖化区で159.7g D.W. m-2、対照区では223.7g D.W. m-2となり、バイオマスの最大値は対照区の方が温暖化区に比べて大きくなっていた。またバイオマスのピーク時期は、温暖化区では8月15日、対照区では9月3日となり、ピーク時期は温暖化区の方が約20日早いことがわかった。


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