| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-224 (Poster presentation)

ナノスケールからみる土壌有機物と無機物の相互作用

*浅野眞希1, 和穎朗太1, 山口紀子1, 武市泰男2, 前田 誠3, 平舘俊太郎1, 菅 大暉3, 神農宗徹2・4, 小野寛太2, 高橋嘉夫5, 1農環研, 2加速器研, 3広大, 4(株)トヤマ, 5東大

陸上最大の炭素プールである土壌有機物(SOM)は、様々な滞留時間を示す有機物の混合物である。SOMが土壌中に長期間蓄積される要因として、鉱物組成に応じた無機物との相互作用(化学的収着、物理的隔離等)の重要性が認識されつつあり、さらなるSOM安定化プロセス解明のためには、微細領域における有機物と無機物の空間分布と性質の関係解明が必要である。走査型透過軟X 線顕微鏡(STXM)を用いたX線吸収微細構造(NEXAFS)分析は、微細領域の元素組成および化学状態を調べることが可能である。そこで本研究は、日本に広く分布し非晶質鉱物に富む火山灰土壌を用い、SOM蓄積を担う微小団粒中のナノスケールにおける官能基組成別の有機炭素および鉱物の空間分布の可視化を行った。供試試料は(独)農環研圃場のA層を用い、超音波処理で最大分散させ粒径サイズ分画を行った。最もSOMを多く保持していた画分(0.2-2μm)について、高エネルギー加速器研究機構のSTXMを用いCおよびFeのNEXAFS分析を行った。また、STXM分析と同一視野において透過型電子顕微鏡(TEM)による形態観察、粘土鉱物の電子線回析像を得た。その結果、①3.5×3.5μmの視野において炭素の存在量、官能基組成の分布ともに不均一であること、②炭素が多く分布する領域には、非晶質鉱物が存在していることが明らかとなり、有機物と非晶質鉱物の微小領域での空間的相互関係を初めて示した。以上の結果からSOM安定化プロセスについて考察を行った。


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