| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PA2-228 (Poster presentation)
Tamarix 属は、米国西部の乾燥地河畔林における代表的な木本侵入植物の一つであり、主要な河川に沿って大面積の単純林を形成している。Tamarixは、塩腺から塩を排出する条件的塩生植物である。排出された塩は降雨などによって土壌に還元され、この排出塩が土壌の窒素動態に影響を与える可能性が考えられる。本研究では、土壌水分および塩分の増加がTamarix林土壌の窒素無機化特性に与える影響を調査した。
米国カリフォルニア州コロラド川下流域およびネバダ州バージン川下流域のTamarix林から採取した土壌試料をプラスチック容器に量り取り、土壌試料に水分および塩分添加を行って、恒温機で4日間培養した。培養期間終了後、土壌の無機態窒素現存量および純窒素無機化速度・硝化速度を計測し、土壌からDNAを抽出して定量PCR法により微生物のコピー数を測定した。
バージン川流域のTamarix林の土壌において、水分および塩分添加が窒素無機化特性に与える影響は明らかでなかった。一方、コロラド川流域の土壌において、水分添加量の増加による硝酸態窒素現存量の増加、アンモニア態窒素現存量の減少、及び硝化速度の増加が認められた。また、コロラド川流域の土壌では、細菌、古細菌、及び菌類のコピー数が、水分添加量の増加によって減少する傾向が認められた。これらの結果は、土壌塩分よりも水分量の変化が土壌微生物量の変化とそれに伴う窒素無機化特性に影響を及ぼすことを示唆している。また、その影響は土壌によって異なることを示唆している。