| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB1-086 (Poster presentation)
成長に伴う体色変化は、魚類、爬虫類、哺乳類等親の保護下の有無を問わず多くの動物で知られている。しかしその体色変化の機能解明については、幼体が成体個体間の闘争行動の回避のシグナル、繁殖可能年齢のシグナル、成体と幼体の対捕食者防衛行動の違いによるものなど数多く議論がされている。先行研究としてDror Hawlena et.al. (2006),(2009)が、野外のトカゲの生活史に着目した研究では、利用する環境(幼体は開けた環境、成体は茂み)と行動の違い(幼体は移動 成体は定住)から鳥捕食者に対する防衛行動の違いが体色と関係しているのではないかと報告されている。しかし、生活史に基づく野外調査では1次防御(捕食者に見つかる前の状態)との関係の説明はされたが、2次防衛行動(捕食者に発見されてからの防御)の違いについて議論する必要がある。今回の研究では、捕食者との遭遇時に見せる2次防御行動と成長に伴う形質変化(体色変化と体型変化)との関係について注目した。材料には捕食者にシマヘビ 被食者は(幼体色:ストライプ、成体色:茶色)ニホントカゲを材料とした。調査、研究項目として、野外調査と室内実験をおこなった。野外調査では、体色の変化と体型変化の関係を考察する。室内実験では、捕食者遭遇時の防衛行動のパフォ-マンスが体色の違いと関係するのかどうかを考察する。室内実験の項目1:蛇の攻撃時と非攻撃時の被食者の逃走行動(逃走開始間合いと逃走速度)が体色の違いによって異なるのかどうかを検討する。室内実験の項目2:蛇攻撃時の被食者到達時間までのトカゲが逃走している時の瞬間最高速度と瞬間最大加速度が体色によって異なるのかどうかを検討する。以上の3つの調査、実験項目から捕食者遭遇時における成長に伴う2次防御行動のパフォ-マンスの違いと体色変化との関係について考察していく。