| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-098 (Poster presentation)

バッタがフンを蹴り飛ばす方向:オンブバッタにおけるフンけり行動

*今坂亮介(九大院・シス生・生態研),粕谷英一(九大・理・生物)

排泄行動の研究は遅れている。しかし、特徴的な排泄行動を行なう例は断片的ではあるが知られている。その代表は、フンを遠くに飛ばす行動である。バッタ類ではいくつかの種がフンけり行動を行うが、詳しい研究はオンブバッタのみで行われており、その生態学的意義は未解明である。オンブバッタは、体サイズの10倍もの距離にフンを飛ばす事が分かっており、フンけり行動は排泄行動であると同時に、物体を遠くに投射する行動としても機能しているかもしれない。飛ぶ距離とともに、フンが飛ばされる方向も重要である可能性がある。本研究では、これまで着目してこなかった「方向」に着目し、バッタはフンをける方向を選択しているのかを検証したい。バッタの周囲の一部分のみを影で覆った実験装置を用い、バッタの向きおよび、フンをける方向が、影に反応して変化するかを調べた。その結果、バッタの向き、フンが蹴られる方向は一様ではなく、影とは反対側の方向に偏る傾向が見られた。また、バッタは影に反応して体の向きを変え、結果フンけり行動の方向も変化した。バッタの向きとフンをける方向について比較した結果、両者には相関がみられ、バッタは向く頻度の高い方向に向かってフンをけると考えられる。バッタの向きやフンをける方向には周囲の明暗による偏りがあること、およびバッタの向きとフンをける方向の間には相関がみられたことから、バッタが周囲の明暗に基づいてフンをける方向を決めている可能性と、フンけり以外の要因により体の向きが明暗に基づいて決まりフンけりの方向は体の向きの副産物としてきまっているという可能性がある。


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