| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB1-111 (Poster presentation)
高知県中土佐町押岡地区において,餌資源の分布および季節的消長が,常緑広葉樹林の里山に生息するニホンザルの植生選択に与える影響について明らかにすることを目的に本研究を実施した.ニホンザル1頭にGPS首輪を装着して行動を追跡し,利用場所を把握した.また,行動圏内における主要な餌資源量の分布および季節的消長を調べた.利用する植生に季節的な変化はみられなかったが,放棄果樹園や針葉樹林に対する選好性は高かった.放棄果樹園を含む果樹園は,春から初夏にはヤマモモやビワ,夏から秋にかけてはカキやクリ,夏から冬には柑橘類が実るため,年間を通して重要な採食場所となっていると考えられた.果樹園は,本調査地区のニホンザルにとって重要な採食場所であり,また,果樹園に近接する針葉樹林を隠れ場所として利用していることにより,選好性が高くなっていると考えられた.このことから,餌資源の分布および季節的消長が,ニホンザルの植生選択にとって大きく影響していると示唆される.