| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-116 (Poster presentation)

里山におけるニホンイノシシの活動に関わる要因

*中村 舞, 肘井直樹(名古屋大・生命農・森林保護), 水谷瑞希(福井県)

近年、ニホンイノシシ (Sus scrofa leucomystax) による人身被害や農作物被害が増加したため、各地で有害駆除や下草の刈り払いといった対策が行われている。このような対策はイノシシ被害の低減がおもな目的であるため、そこの地域に生息するイノシシ個体群に与える影響について考慮されることはあまりない。そこで、本研究では、福井県の人里に近い森林において、イノシシの有害駆除が行われている区域と、行われていない区域内に赤外線自動撮影カメラを設置して、2013年7月から2014年11月まで連続観察を行った。撮影画像をもとに体高を計測し、単独の幼獣・中型・大型、群れ (親子)に分類し、撮影頻度の季節変動や時間帯ごとの撮影頻度を比較し、里山における人間活動がイノシシ個体群の時空間的な活動に与える影響について調べた。その結果、幼獣の撮影頻度は冬期の死亡と成長にともなう減少がみられ、初夏の出生による増加がみられた。また、有害駆除が行われている区域では、他の区域よりも幼獣や群れの出現時期が遅いことがわかった。時間帯ごとの撮影頻度は体サイズが大きくなるにつれて夜間の活動頻度が高くなる傾向がみられた。このことから、有害駆除が人間活動に与える影響は、イノシシの齢や社会構成によって異なることが示唆された。


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