| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB1-170 (Poster presentation)
ミャンマーでは近年、急速な農地拡大に伴う森林消失が深刻化しているが、残存する森林や更には木材資源確保のための「保護林」においても、住民による非木材製資源の収奪的利用が激化し、今後更なる森林劣化が深刻化する可能性がある。
本研究では、残存林の住民利用の強度と森林と農耕地(水田周辺)との植物群落の組成的な類似度から評価することを試みた。具体的には水田周辺の畦群落から人的影響が強いと思われる二次林の間で調査プロットをライン上に配置し、群落構成種や生理生態学的な機能タイプから見た植物グループ(C3・C4植物グループ)がどのように変化するかを調べた。
調査の結果、畦群落と二次林群落において合計103種の植物が確認され、両群落に21種が共通して出現することが分かった。さらに森林内に乾燥、高日射、高温環境に強い耐性を持つC4植物が二次林内にも1種(Andropogon brevifolius)出現し、二次林の構造が疎開し、明るい林床環境が維持されていることが示唆された。
全植生調査プロットのデータを対象に、序列化分析の一つであるDCA(Detrended Correspondence Analysis)を行ったところ、畦群落から二次林群落の調査プロットが混在することなく、序列化できることが分かったが、住民の利用度を出現種に重み付けを行い、同様の分析を行ったところ、両群落の組成的な違いによる序列化が極めて不明瞭になった。このことから、住民の視点から見れば、両群落は極めて類似性の高い生態系であり、二次林での林産物の収奪が続けば更なる質的劣化が進むことが懸念された。