| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB1-180 (Poster presentation)

中山間地における土地利用が鳥類群集に与える影響

*出口翔大(新潟大院・自然科学),箕口秀夫(新潟大・農)

人間による土地の利用は鳥類に様々な影響を与えている。日本の国土面積の73%を占める中山間地では,労働力の減少や低い生産性から水田の耕作放棄や転用がすすんでいる。このような土地利用の変化は,鳥類群集に影響を与えるものと考えられる。本研究では,中山間地における土地利用の変遷が鳥類群集に与える影響の解明を目的として,耕作田,放棄田,および水田の転換地としての養鯉池に着目して検証を行った。

調査は新潟県長岡市において,土地利用形態が異なる耕作田,放棄田,および養鯉池が多く占める谷あいをそれぞれ3,2,および2ヵ所選定し,計7サイトで行った。

鳥類調査は2013年5月~2014年3月に各月1回~4回ラインセンサスを行い,確認種の個体数を記録した。解析は,確認種を3つの採餌ギルドに分け(薮・林縁,地上,および水辺),水田の湛水期(5-8月),非湛水期(9-11月),そして積雪期(12-3月)に季節区分して行なった。土地と採餌ギルドとの関係性をCCAで解析し,それぞれの採餌ギルドの密度,種数,均等度J’,および多様度H’について土地利用形態間で比較した。

CCAの結果,湛水期において水辺採餌鳥類は養鯉池と,藪・林縁採餌鳥類は放棄田とそれぞれ相関があった(モンテカルロ検定p< 0.05)。水辺採餌鳥類の密度,種数,および多様度H’は養鯉池サイトで高く(Steel-Dwass法(以下同様)p< 0.05),養鯉池が水辺鳥類に生息環境を提供していることが示唆される。藪・林縁採餌鳥類は湛水期に放棄田サイトで種数および多様度H’が高く(p< 0.05),放棄田が藪性鳥類の繁殖環境として機能している可能性が示唆された。積雪期は雪により土地が完全被覆を受けるため,差はほとんど認められなかった。

発表では,上記の2013年度の結果に加え,2014年度のデータ解析結果も含めて考察を行う。


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