| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB1-185 (Poster presentation)
外来種が引き起こす種間競争では、在来種を駆逐、置換した事例や、定着した外来種を駆除することで在来生態系に悪影響を与えた事例が存在する。アライグマは順応性に優れた外来種であり、全国で生息域を拡大しつつある。本研究では上野原市において、アライグマと競争関係にあると考えられるタヌキ、キツネ、アナグマ、ハクビシン、テンと時間・空間の重複から生態的に類似している種を特定することを目的とした。
2013年2月から10月に上野原市の2地域において、1地域あたり1km2のエリアを4×4メッシュで区切り、メッシュの中心付近に自動撮影装置を設置し、哺乳類の撮影頻度を調べ、撮影時刻と生息環境の選好性を明らかにした。その結果、仲山地域において、アライグマと時間の重複度が高く、植生や土地利用の傾向が似ている種はアナグマであったが、アライグマと違い、アナグマは日中にも活動が確認された。アライグマと標高や傾斜の利用の傾向が似ている種はテンであったが、時間・空間の重複度は高くなく、アライグマと両種はニッチの重複を回避していると考えられる。鶴川地域では、アライグマと時間や空間の重複度が高く、標高や傾斜の利用の傾向が似ている種はハクビシンであり、植生や土地利用の傾向も比較的似ているので、ニッチが類似していると考えられる。アライグマとハクビシンの食性は比較的重複しており、両種とも木登りが得意で、樹洞や屋根裏などを利用するので、より利用する資源が近いと考えられる。仲山地域ではアナグマの生息数が多く、利用する資源の量が多いと考えられるので、鶴川地域でみられたアライグマとハクビシンのニッチの重複はみられなかったと考えられる。