| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB1-199 (Poster presentation)
外来種問題は解決すべき環境問題のひとつであるが、分類学的な研究が進んでいない分類群の生物においては外来種かどうかの判断が適正に行われず、誤った対応がとられてしまう可能性がある。本研究では、日本から3種の記録がある淡水産有肺類であるカワコザラガイ類を対象とし、核、及びミトコンドリアの遺伝子配列を用いた分子系統学的な手法を用いてカワコザラガイ類が外来種であるかどうかについて検討した。
その結果、従来外来種であるとされることの多かったコビトノボウシザラガイ(Gundlachia japonica)のみならず、在来種であるとされ、環境省レッドリストにおいてもDDのカテゴリに記載されているスジイリカワコザラガイ(Laevapex japonicus)及び、カワコザラガイ(Laevapex nipponicus)の大半が、アメリカ原産であり世界中で移入の報告があるFerrissia fragilisとほぼ同一の遺伝子配列を持つことから、日本産カワコザラガイ類のほとんどが単一の外来種であるという結果が示された。一方でカワコザラガイの一部個体群についてはFerrissia fragilisとは異なる遺伝子配列を持っており、その分子系統樹上の位置や日本において明治初頭からカワコザラガイ類の報告が知られていることから、在来のカワコザラガイが存在している可能性も示唆された。