| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-129 (Poster presentation)

鹿児島県における希少植物の保全技術に関する研究

*小宮山晶子,佐藤了(九州電力),原田圭助(西技開発),工藤りか(四国総研),大和政秀(千葉大・教)

演者らは、九州電力川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)周辺において確認された希少植物種について、保全技術の開発を実施している。対象種はフユノハナワラビ、キイレツチトリモチ、ハタザオ、ノアズキ、ツルマメ、イチヤクソウ、ヒメシロアサザ、テイカカズラ、マルバチシャノキ、カワヂシャ、アゼナルコ、モエギスゲ、シュンラン、オオバノトンボソウ、ニラバランであり、平成22年から移植、播種、挿し木等を行ってきた。本講演ではそれぞれの取り組みについて概要を紹介する。

オオバノトンボソウは、光合成を行うとともに、菌根菌から炭素源を得る部分的菌従属栄養植物である。生育地において、開花・結実状況の観察と人工受粉の実施を行い、未熟種子及び完熟種子について採取時期に関する知見を得た。また、採取種子を対象として、無菌発芽と培養を試み、培地成分の検討を行った結果、種子発芽とプロトコームまでの成長を達成した。さらに、現地の生育地においてシードパケット法を適用した発芽試験を実施したところ、1年後に約7割のシードパケットで種子発芽を確認した。同時に周辺への播種を行っており、個体発生の有無についてモニタリングを行う予定である。今後は発芽種子に共生する菌根菌について分子同定を行い、既報の親個体の菌根菌同定結果との比較から、シードパケット法による移植適地判定の可否について検討する予定である。

また、同様の手法により、イチヤクソウにおいて未熟種子を用い無菌発芽と培養を行い発根までいたっている。


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