| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-147 (Poster presentation)

四万十川流域におけるテナガエビ類の現状と保全対策

*山下慎吾(魚山研),川村慎也(四万十市教委),小出徳彦(四万十川漁連)

四万十川には流程分布様式の異なるヒラテテナガエビ Macrobrachium japonicum,ミナミテナガエビ M. formosense,テナガエビ M. nipponense の3種が生息しており,地元では前2種が重要な水産資源となっている。テナガエビ類2種は主に5月から11月頃までコロバシ漁(エビ筒)によって漁獲されてきたが,その量が2010年頃から急激に減少しはじめた。例えば西部漁業協同組合で扱われている漁獲量は,2009年の約2.5tをピークに,2010年約2t,2011年約1t,2012年約0.7t,2013年約0.6tと連続的に減少し,2014年は0.15tと1996年以降過去最低の値となった。なお,この値は総重量であり,種別,サイズもしくは雌雄別の動向は明確ではない。研究事例としては,1973-75年夏季に本流16地点と支流4河川で調べられた分布調査により種毎の生息場所の違いや上記2種とも主に夜間に瀬を遡上すること等が記されている。また,2002-03年に本流2地点で調べられた詳細な生態研究では調査方法が明記されていないものの上記2種の体調組成や繁殖等について述べられている。そこで筆者らは,テナガエビ類2種の現在の動向を正確に知るため,2012年5月から毎月,四万十川流域において,定量的かつ夜間移動も捕捉する手法として小型定置網を用いた調査を実施し個体数変動を記録してきた。さらに,四万十川に接続しない近隣河川でも同じ手法で定量採捕をおこなった。テナガエビ漁に関わる方々からも状況を教えていただいた。これらの結果をまとめ,四万十川流域におけるテナガエビ類2種の現状を報告するとともに,今後の保全対策について提案する。


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