| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-156 (Poster presentation)
演者らはこれまで北海道沿岸のコンブ目の海藻藻場を対象として、その唯一性、絶滅危惧種、脆弱性、生物学的生産性、生物学的多様性、自然性など多面的に考慮したThe Ecologically or Biologically Significant Areas (EBSAs) の選定を行ってきた。しかしこれらの基準は過去から現在までの藻場の状況のみを評価したものであり、より有効なEBSAsを選ぶためには今後の全球規模での気候変動に伴う海水温の上昇等によるコンブ類の分布域の変化を考慮する必要がある。
そこで本研究では、5㎞グリッドで区切った北海道、東北、茨城の沿岸海域を対象に、海洋生物のデータベースBISMaLに登録されているコンブ目の出現データ(1982年から1999年まで)および海水温、波あたり、水深、岩礁海岸の距離といった環境データを使い、Maxentによるコンブ目23種の分布推定をおこなった。その結果、多くの種で水温や波あたりがその潜在分布域に影響を与えていることが確認された。またMaxentによって推定された各種の潜在分布域を重ねった結果、北海道東部や噴火湾周辺、また津軽海峡周辺で高い種多様性を示していることが判明した。
本講演ではさらにIPCCによる複数のRCPシナリオに沿った海水温の変動に伴うコンブ目各種の将来の分布予測をもとに、保全上重要な海域について議論する予定である。