| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-159 (Poster presentation)
1980年代からコゲラの都市緑地への定着が確認されはじめたが、その理由については明らかになっていないのが現状である。都市緑地におけるコゲラの営巣環境についての研究はいくつかあるが、採食に焦点をあてたものは少ない。そこで本研究では、都市緑地においてコゲラの採食に焦点をあて、コゲラの採食木の特徴を明らかにすることを目的とする。
コゲラの営巣・採食に利用するといわれている,枯れ木の管理手法が異なる2つの都市緑地において,コゲラの採食木について調査を行った。調査地は,埼玉県立大宮公園と国立科学博物館附属自然教育園である。前者では,枯れ木は残さない管理手法をとり,後者では園路以外の場所においては,枯れ木は伐採せずそのまま残す管理手法をとっている。調査は,環境調査,採食木調査を行った。
環境調査では各調査地において構成樹種,枯死木密度,面積を調査した。構成樹種の結果から重複度指数を求め,クラスター解析を行った。その結果,樹種構成からみると大宮公園と自然教育園は,ある程度異なっている環境であることが明らかになった。
採食木調査では,ルートセンサス法にてコゲラを観察し採食行動が確認された場合,樹種,胸高直径,樹冠の状態,樹木の健全度,枯れ枝の有無,腐朽の有無,空洞の有無,採食部位を記録した。調査の結果から,コゲラの採食木に対する樹種選択と採食木の特徴を検討した。採食木に対する樹種選択にはIvlev(1961)の選択性指数を用い,樹種ごとに選択性指数を算出した。
その結果,調査地にて共通して正の選択性がみられる樹種と負の選択性がみられる樹種が存在した。樹木の特徴については枯れ枝があるが,腐朽や空洞のない生立木で採食が多く確認された。