| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-168 (Poster presentation)
都市化に伴う土地利用形態の変化が引き起こす生物多様性の減少とその要因の解明は世界的なテーマとなっている。都市化は、周辺環境のみならず、生息地の管理形態の変化を引き起こすことで、生育・生息する生物の種数と種組成を大きく変化させている可能性がある。日本においては農業生態系、特に阪神地区の水田生態系は1950年以降、広大な面積が都市として開発されてきた。
多くの研究が、都市化に伴うα多様性の低下を報じているものの、季節性やサイト間の種組成の変化、すなわちβ多様性の変化については、未解明の部分が多い。そこで本研究は、都市化による環境変化が引き起こす植物群集のβ多様性の減少が、植食性昆虫群集のβ多様性減少を引き起こしているとの仮説を検証した。
研究は、兵庫県南東部の農業生態系における畦畔草地において、植物および植食性昆虫(チョウ類、バッタ類)の3生物群集を対象とした。それぞれのサイトは周辺の人工地面積に傾度が存在するように設定した。
サイト周辺の人工地面積が高いほど、開花植物や植食性昆虫の種組成の季節性は失われる傾向にあるのか。そのような環境では、一番近い調査地との空間的な種組成も均質化している傾向にあるのか、について議論する。