| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-176 (Poster presentation)

Climate change impacts on Asiatic black bear's distribution

*土光智子(慶応大・政メ),陳文波(慶応大・政メ)

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、世界の平均気温が過去100年間で0.6℃となったとし、今世紀も上昇を続けるだろうと予測している。地球温暖化は、さまざまな生物種にもその影響が出ることが予想されている。温度変化や降水量の変化予測によってブナやそれ以外のクマの食物になる植物に対して影響が出るはずであるが、ツキノワグマへの影響は知られていない。わが国で2010年に閣議決定された「生物多様性国家戦略2010」にも生物多様性の観点から見た地球温暖化の緩和と影響への適応が挙げられている。

本研究では、日本全国のツキノワグマの生息分布に対し影響を与えているパラメーターを検討し、科学的手法を用いた地球温暖化によるツキノワグマへの影響評価を行うことを本研究の目的とした。

まず、感度分析によるツキノワグマ生息分布に対する環境要因影響評価として、気候データの精度の改善を試みた。次に、感度分析による要因の影響評価を行い、年間最低気温の影響、各種道路への距離の影響、植生変化の影響に関するパラメーターの感度分析を行った。最後に、ツキノワグマの将来の地理的分布のシミュレーションとして、各パラメーター条件下でのツキノワグマの将来の地理的分布をシミュレーションした。


日本生態学会