| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-183 (Poster presentation)

草原の管理再開による植物種多様性の回復程度とその規定要因

*小山明日香(森林総研),小柳知代(東京学芸大),赤坂宗光(東京農工大),高田雅之(法政大),岡部貴美子(森林総研)

生態系修復の取り組みでは、再生手法の違いにより目標とは異なる群集への移行を招く場合がある。そのため、生態系修復を進める上で再生地における生態系の回復程度を評価し、その規定要因を明らかにすることが求められる。半自然草原は、継続的な人為管理が行なわれることにより高い生物多様性が維持されている生態系である。しかし、土地利用変化に伴う草原の管理放棄による樹林化が進み、草原生生物の減少が深刻化している。本研究では、近年草原再生の取り組みが進められている熊本県阿蘇市の半自然草原において、草原の管理再開に対する植物群集の応答を評価するため、植物群集の回復程度とその規定要因を検証した。

複数の継続管理および管理再開草原を対象に植生調査を行い、植物種数および種組成に対し、土地利用形態(継続管理/管理再開)、管理手法(火入れ/火入れ・採草)および地形条件との関係性を解析した。

その結果、管理再開草原の種数および種組成は、火入れ・採草管理を行なうことで継続管理草原に近づくことが示された。また、草原生植物の高い種数は継続管理・管理再開草原に関わらず斜面方位に規定されていることが分かった。本研究は、管理放棄草原における生態系修復を効果的に実施する上で、管理手法および地形条件を考慮した再生努力の必要性を示している。


日本生態学会