| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
一般講演(ポスター発表) PB2-187 (Poster presentation)
ニホンジカ(以下、シカ)の個体数が日本各地で増加し、シカの摂食や踏み付けによる生態系への影響が深刻になる中、シカ密度を低下させることが課題となっている。シカ密度を低下させる方法の一つして捕獲が挙げられるが、捕獲者が減少しつつある現在は、捕獲効率を低下させないことが重要である。捕獲効率に影響する要因としては、シカ密度、捕獲履歴、猟法、地形などの要因が考えられるが、これらが実際にどの程度捕獲効率に影響するのかは定量的に明らかにされていない。そこで本研究では、山梨県の2005~2010年の捕獲効率に関するデータを分析し、捕獲効率に影響する要因を検討した。その結果、銃猟においてはシカ密度が高く、過去の捕獲率が高いほど捕獲効率が低くなっていた。一方、わな猟においてはシカ密度が高いほど捕獲効率が低かったが、過去の捕獲率は捕獲効率に影響していなかった。また、捕獲箇所の傾斜は、いずれの猟法でも捕獲効率に影響していなかった。過去の捕獲率について猟法の内訳は不明だが、山梨県では相対的に銃猟による捕獲が多いと考えられる。以上の結果から、捕獲効率を低下させないためには、わな猟の推進あるいは捕獲効率が低下しにくい銃猟(誘因狙撃など)の開発が必要であることが明らかになった。