| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-193 (Poster presentation)

大阪府におけるニホンジカの生息密度分布と頭数推定‐糞塊除去法による試み‐

*幸田良介, 小林徹哉, 辻野智之

近年、日本各地でニホンジカの生息密度増加、分布拡大が指摘されている。大阪府においても北摂地域でシカの増加とそれに伴う自然植生や農林業への影響が問題視されている。北摂地域には森林、耕作地、集落、宅地など様々な環境がモザイク状に分布しており、局所スケールでシカ生息密度が大きく異なることが予想される。そのため、シカ生息密度とその空間分布を詳細に把握することが、シカによる被害対策を効果的に進める上で非常に重要である。現在のところ、狩猟者によるシカ目撃効率がモニタリングされているものの、目撃効率では狩猟メッシュ単位(約5 km四方)でしか評価することができず、シカ生息密度の分布状況については不明な点が多い。そこで糞塊除去法によるシカ生息密度推定手法を用いることで、北摂地域におけるシカ生息密度の広域分布状況を詳細に把握することを目的として調査を行った。また、空間補間法を併用することでシカ生息密度分布図を作成し、全頭数を推定することを試みた。

調査は2014年11月から2015年1月にかけて、北摂地域内になるべく均等に配置した合計99ヶ所の調査地で行った。各調査地に、50 m×4 mのベルトトランセクトを長辺が南北方向もしくは東西方向となるようにそれぞれ設置した。その後、トランセクト内のシカ糞塊を除去・カウントすることで、各調査地におけるシカ生息密度を推定した。また、調査地域を約1 km四方のメッシュ378個に区切り、IDW法による空間補間を行うことで各メッシュにおけるシカ生息密度を推定した。

発表では推定されたシカ生息密度分布を既報の目撃効率による結果と比較するとともに、空間補間法によるシカ生息頭数の推定結果を報告し、今後必要となる検討事項について考察する。


日本生態学会