| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


企画集会 T01-2 (Lecture in Symposium/Workshop)

研究者が主体となった森林・草原調査で得られた成果とその学術利用

日高周(自然環境研究センター)

モニタリングサイト1000森林・草原調査では、天然生成熟林を中心に森林生態系を対象としたコアサイト20サイト・準コアサイト28サイトを設置し、樹木・地表徘徊性甲虫類・鳥類のモニタリング調査を行っている。これらのサイトは、研究機関や国際的なモニタリングネットワーク(国際長期生態学研究ネットワークInternational Long-Term Ecological Research Network)等との連携に留意して設置され、指標生物群間の関係性に留意し、生じた変化の関係性や影響要因の検討を目指している。また、森林および草原生態系に設置された一般サイト(計419サイト)では、移動性の高い鳥類の分布の変化をはじめ、さらに広域多地点の異変を捉えることを目指しモニタリング調査を行っている。

樹木調査では426樹種(幹数63,257本)の毎木調査データおよび落葉落枝・落下種子調査データ、地表徘徊性甲虫類のピットフォールトラップ調査では甲虫目316種以上(成虫56,627個体、幼虫3,142個体)のデータ、コアサイトの鳥類調査では繁殖期(毎年80~82種、1,198~1,242羽)・越冬期(50~57種、714~926羽)のデータを記録し、環境省生物多様性センターからデータを公開するとともに、一部はEcological ResearchのData Paperとして公表されている。これらのデータは、様々な研究者や環境省環境研究総合推進費「アジア規模での生物多様性観測・評価・予測に関する総合研究」などで活用される等、他の研究との連携も促進されている。

本発表では、調査手法やデータなどの特徴について説明し、公開されたデータの活用例、および、本調査の第2期とりまとめ解析報告書での主要な結果について報告する。


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