| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
企画集会 T10-1 (Lecture in Symposium/Workshop)
本企画集会ではボルネオの人里地域での生物多様性の現在と、人々の生態資源利用との相互関係について議論したい。
ボルネオ島北西部のマレーシア・サラワク州は、かつて原生林が卓越していたが、川沿いでは地域住民による焼畑稲作が行われ、その二次林が広がっていた。地域住民は日々の食料、建材、商品としての非木材林産物など多くの生態資源を森林や河川から得ていた。
この地域では70年代ごろから原生林の商業伐採が盛んになったが、景観構造の大きな変化はもたらさなかった。しかし2000年代ごろより低地部を中心に広大なオイルパームプランテーション、アカシアなどの早成樹プランテーションが造成されるようになり、景観構造の大きな変化がおきつつある。
農村部では長年にわたり、村外労働のための人口流出が続いていたが、近年では地域住民自身によるオイルパーム栽培が盛んになり、集落周辺はモザイク状の景観に変わりつつある。このような景観構造と地域住民の社会・経済状況双方の変化は、樹木、淡水魚、哺乳類など地域の生物多様性の状況と、その利用、意義を変えつつある。