| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
企画集会 T11-1 (Lecture in Symposium/Workshop)
本講演ではTree Climbingを用いた生態学研究を紹介するに先立って、生態学におけるTree Climbingの具体的な技術や手法、メリットについて説明する。なお、本講演の目的は、実際の写真などを用いてTree Climbingをおもしろくかつわかりやすく紹介することであり、一見の価値あり!
Tree Climbingは林冠部へ安全にアクセスする手法として1970年代に導入され、林冠研究の飛躍的な進展に大きく貢献した。タワーやクレーン、ウォークウェイなどの大型設備を用いた集約的な林冠アクセス方法が発達した現代においてもTree Climbingは主要なツールとして世界各地で用いられている。
木に登るに際して、最初に先端に重りを付けた細紐を手投げもしくはパチンコやボーガンを用いて樹木に掛け、細紐からTree Climbing用のロープに付け替える。登攀者は専用のハーネスと器具を着用して登り降りと樹上作業を行う。
Tree Climbingは大型設備に比べて低コストであり、移動性が高いということが大きな特徴である。一方で、樹冠外縁へのアクセスが困難であり、安全管理を含めた一定のスキルが必要不可欠である。しかしながら、近年では技術や道具の発展によってTree Climbingの安全性や効率性が高まっており、初心者でも半日程度の訓練で登り降りができるようになる。また、習熟者になると樹冠内ほぼ全域を自由に動き回ることも可能となる。
最後には林冠アクセス手段としてのTree Climbingの今後の生態学への応用に向けての展望と課題についても言及したい。