| 要旨トップ | ESJ62 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
企画集会 T11 -- 3月21日 9:30-11:30 K会場
“Tree Climbing(ツリークライミング)”は、専用のロープやハーネスなどを利用して木に登る技術である。日本ではレクリエーションの一環としての普及が進んでいるが、欧米では樹木管理や研究調査のための技術として発展してきた。近年では技術・道具の発展により、より安全かつ容易に樹上にアクセスできるようになっており、今後さらに世界的に普及していくと考えられる。
森林の林冠は、樹木の同化・繁殖器官を含むだけでなく、他の生物へハビタットを提供するなど、森林生態系を考える上で欠かせない重要な構成要素である。日本の林冠生態学においては、タワーやクレーン、ウォークウェイといった大型設備を駆使して樹冠の高所にアクセスし、地上からは解明できなかった樹上での調査が盛んになされてきた一方で、Tree Climbingを研究手段として用いる機会はごくわずかに限られている。
本集会では、はじめに、現在生態学で用いられているTree Climbingの技術・手法を説明する。その後、近年実際にTree Climbingを用いて行われた、林冠における樹木の生理現象からそこに生育する植物・昆虫までの多岐にわたる研究を紹介する。日本ではいまだ認知度の低いTree Climbingについて、研究手段としての有用性を発信するとともに、今後の生態学への実用可能性や展望について積極的な議論を展開したい。
[T11-1] 生態学とTree Climbing ~そうだ!木に登ろう!~
[T11-2] 樹上の世界に魅せられて-針葉樹の高木・老木における生理生態学的研究
[T11-3] コナラ属における堅果生産と樹冠成長のトレードオフ
[T11-4] 熱帯林の樹上に立って見る、着生シダの形質的特徴と窒素分配
[T11-5] 熱帯雨林の林冠部で着生シダ内に住む攻撃的なアリ類に襲われてでも調べたいこと