| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
企画集会 T16-2 (Lecture in Symposium/Workshop)
アジア地域における森林群集やその生態系機能・サービス、さらには人為撹乱への応答のメカニスティックな理解に不可欠な樹木の機能形質データベースを整備した。樹木の葉と材のサンプリングを国内23サイト、タイ・マレーシアの8サイトで行い、亜寒帯林から低地フタバガキ林、マングローブ林といった熱帯林まで、この地域の主要な森林タイプのほとんどを網羅した。その結果、これまでに約1100種の樹木種について、面積あたり葉重量、葉サイズ、葉の窒素やフェノール含量、材密度といった、樹木の生活史戦略や撹乱応答、生態系機能と密接に関わる機能形質を収集することができた。また、樹高や種子サイズ、繁殖器官や根の形質など野外での測定が容易でない形質については、文献情報の収集・デジタル化を行った。
本発表では、応用的な解析の基盤となる、本データベースの基本的な性質について紹介する。特に、森林タイプ間の形質平均値や機能的多様性の違い、および物理環境がそれらに与える影響ついて解析し、これまでほとんど知られていない、この地域の森林の定量的な姿について議論したい。