| 要旨トップ | 本企画の概要 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
企画集会 T16-3 (Lecture in Symposium/Workshop)
攪乱や環境変動が森林の生態系機能・サービスに与える影響の定量評価および将来予測は、現在も大規模な人為攪乱が進行するアジア地域における喫緊の課題である。近年、比較的容易に測定できる植物の機能形質を用い、生態系機能・サービスの広域評価や攪乱・環境変動への応答を予測するための試みが盛んに行われている。例えば、植物の光合成速度や落葉の分解速度は、全球レベルでは生葉の葉重/葉面積比や落葉中のリグニン濃度でそれぞれ比較的精度よく推定できるとされており、それらの形質を用いた全球レベルでの生態系機能の評価もなされている。また、攪乱応答に関わる形質と生態系機能に関わる形質との関係性を明らかにすることで、攪乱が生態系機能に与える影響を予測することもできるだろう。
本発表では、関連する既存研究を簡単に紹介するとともに、これまで利用可能な機能形質が限定的で、十分な評価がなされていなかった日本を含むアジア地域の生態系機能を広域的に評価した研究を紹介する。特に、過去の土地利用変化に伴う生態系機能・サービスの時系列変化や、東南アジア熱帯の森林劣化に伴う生態系機能変化のメカニズムについて紹介し、生態系機能評価と将来予測おける機能形質の有用性と課題について議論したい。