| 要旨トップ | ESJ62 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨 ESJ62 Abstract |
自由集会 W19 -- 3月19日 18:00-20:00 K会場
昆虫は鳥類からの捕食を逃れるために、驚くほどに多様な色彩を進化させている。背景に溶け込む隠蔽的な色彩や、自らの毒性を誇示するための警告的な色彩、毒のある生物に似た色彩を持つベイツ型擬態は古くからよく知られる例である。その他にも、体を横切るように走る分断的な色彩や、食べられないもの(糞や枝)への擬態、ヘビやフクロウなどの眼によく似た眼状紋など、さまざまな色彩パターンが知られている。このような形質の進化を明らかにする上で、捕食者である鳥類が、昆虫のもつ色彩や模様をどのように知覚し、認知するのか理解することは肝要であるが、その研究の試みは未だに発展の途上といえる。
本集会では、昆虫のもつ様々な色彩が、鳥類によってどのように認知されるのか、また、鳥類固有の認知能力が、昆虫のもつ色彩形質の生存価にどのように反映され、どのような色彩進化を駆動するのか、その理解を深めることを目的とする。具体的には、以下4つのテーマについて、最新の研究例と演者の研究成果をあわせて紹介する。(1)鳥類は昆虫の不味さとその色彩をどのように関連させて学習し、記憶しているのか?(2)昆虫は背景に応じて隠蔽色や分断色をどのように使い分けるのか?(3)糞や枝への擬態はどこまで精巧であれば鳥類をだませるのか?(4)鳥類は昆虫の眼状紋をみて本当にヘビやフクロウを想い起こすのか?総合討論では、認知科学と生態学の融合的アプローチが色彩進化の理解においてどのように寄与しうるのかについて議論する。
コメンテータ 上田恵介(立教大・理)
[W19-1] 警告色における目立ちやすさの意味
[W19-2] イラガのまゆの隠蔽度を仮想捕食実験によって検証する
[W19-3] フンとして生きる:巧みな擬態の進化
[W19-4] 類像擬態:鳥をあざむく幼虫の眼状紋