| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(口頭発表) J2-18 (Oral presentation)
熱帯雨林や珊瑚礁などの巨大な生態系の種数や個体数を調べると,種個体数分布や種数面積関係などの特徴的な生物多様性のパターンが普遍的に見出される。
そのようなパターンを定量的に予測する多種群集動態モデルとして、Hubbellの中立モデルに対する数理解析がこの10年ほどの間に充実してきたが、 全ての種の個体当たりの出生率,死亡率,分散率などが種・個体に寄らず等しいという非現実的な中立仮説が批判され、最近も理論・実証研究者間の論争が続いている。
一方、複数の栄養段階にわたる競争、相利、捕食などを含む複雑な種間相互作用をもつ大規模生態群集ネットワークにおける生物多様性のパターンに関しては、ランダムな種間相互作用をもつ非線形個体群動態モデルの大域的平衡点の安定性や種個体数分布が、統計力学的手法により解析的に調べられてきた。本講演では、ランダム反対称種間相互作用をもつ食物網モデルにおいて、平衡点が不安定化して個体群動態がカオスになる場合の種個体数分布を解析的に与える理論的研究の結果を報告する。