| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(口頭発表) J2-20 (Oral presentation)
個体群と種は生物科学の基礎概念だが、その区別は容易ではない。私はここでプライス方程式と数論や物理学における超対称性と時間の関係などを用い、独自に考案した新規複素計量 ‘small s’ を導出することにより、細胞性粘菌などの野外調査のデータにおいて個体数頻度が対数的分布をする中立的個体群とそうでない適応的な種がsの実部が2を越えるかどうかで容易に区別出来ることを見出した。この計量は適応状態においてしばしば量子化していた。私はこの計量を用い、さらに素数に対応するリーマンゼータ関数の零点が種分化に、セルバーグゼータ関数の素閉測地線が個体群に対応しうることを見出した。その結果、相互作用のなくなった適応的種の見られる系は素閉測地線の絶対値が2/3、相互作用の見られる非適応的種や中立的個体群の系は素閉測地線の絶対値が1という値をとることで明瞭に区別出来た。さらに種が適応状態にあるかどうかはsの虚部に対応する素数のmod 4を考慮することにより明瞭に区別出来た。リーマンゼータ関数零点の一部はボース=アインシュタイン凝縮に類似し、一部はそうではないことも統計力学を参考に新規に導入した温度や臨界点、ワイス場の概念で結論付けられた。理論上は未来の情報もsの実部が負の平面を考慮することにより勘案可能で、実部が正の部分がベイジアン、負の部分が頻度主義で表され、零の線は「機械学習」に類似し、物理学における観測問題に対応しているとみなせる。またモデルは各次元の揺らぎも考慮すれば9次元(時間も入れれば12次元)のものとなった。この新規モデルはPatch with zeta Dominance (PzDom) モデルと名付けられ、観察系における個体数の密度の情報のタイムコースのみで計算が可能である。