| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-132 (Poster presentation)
植物の花を食害する植食者は、植物の資源を奪ったり訪花者に対する花の誘引力を下げたりする。そのため多くの植物種では、植食者を忌避するための化学的な戦略をとっている。花食害は繁殖成功を考える際に重要な要素である。植物は植食者からの攻撃に備えて事前に防御をするほか、被食に誘導された防御(誘導防御)をおこなうことも知られている。被食されやすい種は事前防御をするのが有利で、被食率は低いが被食量は多い種では誘導防御をするのが有利であると言われている。しかし、花の防御に関する研究はごく一部の植物種でしか行われていないうえに、花の誘導防御についてはほとんどわかっていない。したがって、花の事前防御や誘導防御を複数種で検証する必要があると考える。
本研究では、植物の花形質の違いによって防御戦略がどのように異なるかを明らかにするため、野外で操作実験をおこない、誘導防御・事前防御について検証した。宮城県仙台市の青葉山にて草本10種を対象に野外調査を行い、それぞれの種において自然食害の程度を観察し、前半に咲く花と後半に咲く花に分けて採取した。それに加え人工食害処理および食害排除処理をおこなった花を採取した。そして、花の化学的防御の指標として総フェノール・縮合タンニンの含有率を分析した。発表では野外調査および実験から得られた結果に考察を交えて報告する。