| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-133 (Poster presentation)
水田畦畔は高い生物多様性を維持する半自然草地であるが、圃場整備をはじめとする人間活動による撹乱が畦畔の生物多様性に影響することが知られている。生物多様性への影響には、撹乱による生息環境の改変だけでなく、群集内の種間相互作用(食物網、送粉系、間接的効果)を介した影響も考えられる。しかし、撹乱による相互作用ネットワークの変化や、その変化が生物多様性の維持に与える影響を研究した例は少ない。
本研究では福井県若狭町の水田地帯において、過去の圃場整備回数が0〜2回と撹乱履歴の異なる水田畦畔で食物網および送粉系ネットワークを調査し、撹乱によってネットワーク構造がどう変化するかを明らかにする予定である。また、植物群集の空間構造などの機能に注目し、その機能的多様性が他の分類群にどのように影響しているかについても調査をする。
昨年秋の予備調査では、過去の撹乱履歴が少ないほど、水田畦畔の生物群集(草本、チョウ、トンボ)の種多様性が、高くなる傾向が見られた。この種多様性の変化は、生物群集の相互作用ネットワークに影響している可能性がある。
また、相互作用ネットワークのダイナミクスについての研究の展望についても議論する。
なお、本研究は環境省「環境研究総合推進費」の支援により行われている。