| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-168 (Poster presentation)
被子植物は多様な交配様式を持つことで知られる分類群であるが、その交配様式の中で最も一般的な進化は異花柱性である。異花柱性植物では雌しべが長く雄しべが短い長花柱花のみをつける個体と雌しべが短く雄しべが長い短花柱花のみをつける個体の二型が集団中に共存する。これは葯と柱頭の位置が異なることから、自殖を避け他殖を促進する機構として知られている。また、多くの異花柱性植物では雄しべ雌しべの二型とリンクする同型内不和合性を持っている。これは長花柱花と短花柱花では和合であるが、長花柱花同士、あるいは短花柱花同士ではたとえ他個体であっても不和合である性質である。このため、異花柱性植物では集団中の半数と交配ができない大きな繁殖の制約を受けている。異花柱性は被子植物の中の28科でその存在が確認されているが、大きな繁殖の制約を受ける類似のメカニズムが何故被子植物の中で何度も独立に獲得されたのだろうか。本発表ではモクセイ科植物を用いた実験を通して、従来の考えとは異なる新しい自家不和合性について言及し、異花柱性の進化に大きく関与している可能性について議論する。