| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-234 (Poster presentation)

ヤマトシジミにおけるWolbachia感染密度の周年変化

*角拓人(岡大院・環境生命),三浦一芸(NARO),宮竹貴久(岡大院・環境生命)

多くの感染性病原は,感染率などが季節的に変動する。細胞内共生細菌Wolbachiaは母系伝播する遺伝因子の一つとして捉えられる一方で,確実な証拠はないものの種内・種間における感染性の病原にもなりうる。また,種によって異なるが,細菌が必ずしも宿主の生育に必要ではないことや宿主の性を偏らせることから節足動物の病因と捉えることも可能である。さらに,この細菌は高温や低温に宿主が曝されると宿主体内から消失することがこれまでの室内研究で明らかにされている。しかしながら,野外において細胞内共生細菌がどのような感染動態を示すかは未解明であった。節足動物におけるWolbachia感染率に関しては,少なくとも日本の気候条件では感染率が変化しないことが明らかになった一方で,2014年のヤマトシジミの調査によって感染する密度が夏季にWolbachia低下することが示された。Wolbachia密度が季節に応答して変化するという報告はまでにない。,宿主の繁殖操作を行うWolbachiaが季節的にどのようなふるまいを示すかを知ることは,生態学的に非常に興味深い問題である。そこで,本研究では温帯の3地点(筑波,岡山,鹿児島)と亜熱帯の1地点(沖縄)を調査地として2014年に引き続き2015年にもヤマトシジミを採集し,ヤマトシジミにおけるWolbachia密度が季節性を持ち,周年でどのように変化するのか調べた。


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