| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-275 (Poster presentation)

2種のアメンボにおいて、他種の存在が産卵に与える影響

*直塚翔吾(九大・システム生命・生態), 平山寛之, 粕谷英一(九大・理・生態)

母親による産卵場所選択は子の適応度に大きく影響を与える。産卵に関する意思決定の研究ではこれまで捕食者や被食者(餌)の有無などの影響を使ったものが多かった。近縁他種の影響は取り上げられてこなかったが、資源をめぐる競争で子の適応度に影響する可能性が大きい。また、近縁他種は繁殖干渉により子ではなく母親の適応度に影響を与えることにより、産卵に関する意思決定に関係していることも考えられる。本研究では、餌や産卵基質等の利用資源が同じであるナミアメンボとヒメアメンボを用いて、他種の存在が産卵などに与える影響を検討した。実験は、容器内でのメス成虫の密度をそろえた上で、①ナミアメンボのみの場合、②ヒメアメンボのみの場合、③ナミアメンボとヒメアメンボが混合している場合という3つの条件を設定し、それぞれの産卵数を調べた。

実験の結果、両種ともメス1頭あたりの産卵数は同種のみが存在している時よりも他種と混合している時の方が有意に多かった。産卵場所選択を行う際、アメンボ類がいくつかの環境要因を使っていることは過去の研究から示されてきたが、「近縁他種」もその要因の一つであるかもしれない。産卵数が増加した原因について、体サイズや実験後に体内に残っていた卵数なども分析し、考察した。


日本生態学会