| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-290 (Poster presentation)
本研究は,高知県中土佐町押岡地区において,餌資源の分布が里山に生息するニホンザルの環境選択に与える影響について明らかにすることを目的とした.ニホンザル1頭にGPS首輪を装着して行動を追跡し,行動圏を把握した.行動圏内における植生調査と,主要な餌資源量の分布および季節消長を調べた.群落タイプごとに自動撮影装置を設置して,ニホンザルの利用方法を調べた.利用している食物を調べるため,行動圏内で採取した糞の分析を行った.利用する植生に季節的な変化はみられなかったが,放棄果樹園や針葉樹林に対する選好性は高かった.放棄果樹園を含む果樹園では,年間を通してヤマモモやビワ,かんきつ類等が結実している.また,行動圏内で採取された糞からはすべての期間で果実が出現した.果樹園は本調査地区のニホンザルにとって重要な採食場所であると考えられた.これらのことから,餌資源の分布がニホンザルの環境選択に大きく影響していることが示唆される.