| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-351 (Poster presentation)
近年、環境破壊が大きな社会問題として取り上げられ、人類や地域の将来に対する危惧が叫ばれている。人間生活に起因するこれらの環境破壊はますます複雑かつ深刻化している。このような現状から、環境問題や環境保全に主体的に関わることができる資質や能力を育成するための環境教育の重要性は、一層高まっていると言える。しかしながら、環境問題は広範囲で、多面的な要素が複合的に介在していることで、解決の道筋や解決方法を端的に導くことが難しい。そのため、小学校で行われる環境教育では、各教科等を通じた横断的で系統的、総合的な取組が必要となることから、その学習を総合的な学習の時間に位置付けているのが一般的である。しかし、この総合的な学習の時間においても活動内容や指導方法、学び方などにおいて課題があり、子どもに十分な資質能力を育むまでには至っていない。また、自然の中で遊ぶことや、生き物と関わるなど様々な自然体験が著しく不足する現代の子どもにとって自然と触れ合うことができる体験型の学習を取り入れることは重要であると思われる。
そこで本研究では河川を題材とし、水域環境教育について河川の付着藻類に着目した。付着藻類とは、河川の底質である岩盤や礫の上に生育するシアノバクテリア、珪藻や緑藻などの総称で、河川生態系ピラミッドの底辺付近に位置し、水生昆虫や魚の餌資源として重要な役割を担っている。また、人間の生活活動で排出された汚濁物質をある程度、分解・除去する自浄作用の働き、さらには、付着藻類自らが剥離することで汚濁源になる自濁作用の働きを持つ。
本発表では、これら付着藻類の働きを小学生を対象とした環境教育に取り入れるべく簡易的な実験の作製を検討した。