| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-354 (Poster presentation)

モウソウチクの拡大が周辺樹林地に与える影響

山本啓介 千葉大・院・園芸

モウソウチクと他の樹木の混交状態により互いの成長にどのような影響が現れるのかを、拡大モウソウチク林がスギ植林と接している地点でモウソウチクとスギの成長を比較することで検証した。調査地はモウソウチク林内、モウソウチクとスギの混交林内、モウソウチクの影響を受けていないスギ、の3つに分類した。

モウソウチクではモウソウチク林内と混交林内では10m×10mの方計区を設置し全稈の胸高直径を測定した。その結果モウソウチクの密度はモウソウチク林内で0.48本/m^2、混交林内では0.31本/m^2だった。当年稈の数はモウソウチク林内では4本、混交地林では2本だった。混交地林の方が密度が少なく当年稈も少ない結果が出たが同調査地では枯死した稈が少ない等人の管理の影響もみられるため一概には比較できない。モウソウチクの稈直径ではモウソウチク林内では平均9.9cm、混交地林内では平均10.1cmと殆ど差異はあらわれなかった。モウソウチクと他の樹木の混交状態はモウソウチクの発生には影響を与える可能性があるが稈1つ1つの成長に与える影響は小さいと思われる。

スギではモウソウチク林内と混交地林に設置した方形区、及び林縁に残存するモウソウチクの影響を受けていないスギを調査対象とし胸高直径と枝の残る樹高を調べた。モウソウチク林内ではスギの枯死跡は幾つか確認できたがスギは存在しなかった。混交地林のスギの胸高直径は平均18.3cmだった。モウソウチクの影響を受けていないスギは胸高直径が27.5cmだった。これらのスギは同時期に植えられた可能性が高く、胸高直径に大きな差があるため混交状態がスギの成長を大きく阻害していると思われる。混交地林のスギは枝が樹高7m以下では全く存在しなかったがモウソウチクの影響を受けていないスギは樹高5mから枝が存在した。モウソウチクによる被陰や稈の接触などによると思われ、これがスギの成長に影響を与えていると考えられる。


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