| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-355 (Poster presentation)
海浜砂丘には塩分や飛砂・堆砂に耐性のある植物が生育し独特の植生が成立しているが,開発による砂浜面積の減少により海浜植生への影響が危惧されている。海浜植生を保全するにはまず群落の成立要因を明らかにすることが必要である。鳥取砂丘は天然記念物として保護されている一方で,除草作業や観光客による踏み付けなど人為的影響も深刻であると考えられる。鳥取砂丘で植物群落の成立要因を把握することで,国内の海浜砂丘の植生管理につながることが期待される。これまで鳥取砂丘では清水・永田(1980)や富永(2007)など植物群落の研究はなされてきたが、群落の成立と環境要因との関係解析は不十分であった。そこで本研究では,現在の鳥取砂丘の植物群落の分布と環境条件を調査し,群落分布と環境要因の関係を解析することで,群落の成立要因を把握することをめざした。今回は群落の性質を明らかにすることを目的とし、TWINSPANによる群落分類を行った。
TWINSPANの結果、11type(A-K)に分類された。第一分類でコウボウシバが優占し、ヒメスイバやハタガヤなどの雑草が出現する群落(type-K)が確認された。第二分類で、ハマヒルガオ、ネコノシタ、ハマゴウが多く出現するGroup1(A-E)とオニシバ、ビロードテンツキが多く出現するGroup2(F-J)に区分された。鳥取砂丘では「オアシス」とよばれる湿地に近い環境がある。ここではコウボウシバが優占し、雑草が多く確認される鳥取砂丘内でも独特の植生である。type-Kはこのオアシスの群落が中心であった。Group1は雑草が少なく、海岸沿いに多く見られる海浜植物が出現することから海浜型植生、Group2になると砂の動きが少ないところに出現するビロードテンツキやチガヤ、メヒシバ、オオフタバムグラなどの雑草が多く出現することから内陸型植生に区分できると考えられる。