| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-366 (Poster presentation)
近年、イノシシなどによる農作物被害が増加している。新潟県内においても近年の分布拡大と平行して被害額が急増し、緊急の課題となっている。イノシシは環境に応じて行動を大きく変化させることが知られており、地域個体群の特徴に応じた被害対策が求められるが、イノシシの食性に関する研究は中国地方や関西地方を中心に行われてきており、近年になって分布が拡大した北陸や東北地方ではほとんど行われていない。そこで本研究では、2015年11月より新潟県上越市柿崎区で捕獲されたイノシシを対象に、ポイントフレーム法により胃内容物分析を行い、各項目の出現率と占有率を求めた。それらの結果を他の地域個体群と比較し、新潟県におけるイノシシの行動特性を検討した。今冬は暖冬の影響により、11月から12月にかけて調査地内ではほとんど積雪が見られず、多くの個体が地下部を中心に利用していた。また、冬が深まるにつれ単子葉などの同化部の占有率が低下し、地下部の占有率が増加する傾向が見られた。さらに、他地域ではあまり確認されていないツクシが頻出し、ツクシを採餌するために畦畔を掘り返していることが示唆された。なお、1月以降に捕獲されたサンプルは現在も解析中である。