| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-376 (Poster presentation)
都市の中小河川は周辺環境の都市化や、利水や治水を目的とした川づくりが行われてきたことにより、河道の直線化やコンクリート護岸化などの河川整備がされてきた。その結果、都市域の生態系に多大な影響を与えてきた。調査対象地である野川においては、戦後以降、前述のような河川整備が行われてきたが、野川の復活を願う市民ボランティアの自然再生活動により、現在は河川内に緑地が連続的に存在し、自然が多く残っている。都市生態系の中でも鳥類は人間などの哺乳類を除けば、生態系の頂点に位置しているといわれており、生息する環境が種ごとに異なることから環境指標生物の1つとして利用されている。河川の鳥類群集と環境条件に着目した研究は、大規模河川において川幅や陸地横断距離などの要因が鳥類群集に影響を与えているといわれている。しかし、環境が集約されている中小河川での研究例は少ない。そこで本研究では、中小河川である野川において河川横断面に着目し、鳥類の利用に影響があるかを明らかにすることを目的とする。
調査地は、多摩川支流の野川で、河川横断面をA、B、Cの3タイプに分けて区画を設置した。調査は、2015年の4、9、11、12月の各月2回ずつ行い、時間は8:00~12:00の間に行った。得られた結果から、水辺性鳥類や山野性鳥類に分類し、種数と個体数のデータから多様度指数を算出し解析を行った。
調査と解析の結果、季節性はあるものの、構造によって個体数や種数、多様度指数に差があることが分かった。特に、9月と11月において有意な差が多く見られ、詳細に見てみると、構造A-B間、構造C-B間で差があった。
発表では、上記で得られた結果と解析を含めたうえで考察を行う予定である。