| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-389 (Poster presentation)

小笠原諸島に侵入したツヤオオズアリによる陸産貝類の減少

*内田翔太(東北大・生命科学),森英章(自然研小笠原),児嶋翼(環境省母島事務所),葉山佳代(小笠原環境計画),坂入祐子(小笠原環境計画),千葉聡(東北大・東北アジア/生命科学)

世界の侵略的外来種ワースト100に指定されているツヤオオズアリPheidole megacephalaは熱帯・亜熱帯地域で在来生態系に多大な影響を与えてきた.日本では南西諸島と小笠原諸島に移入しているが,南西諸島においては自然林に侵入せず,在来生態系への大きな影響を示さなかったため特定外来生物に指定されることはなかった.そのためユネスコ世界自然遺産に指定されているにもかかわらず,小笠原諸島ではツヤオオズアリの潜在的な影響や記録は無視されてきた.2015年3月に陸産貝類の良好な生息環境の残る小笠原諸島母島の南崎においてツヤオオズアリの侵入が確認された.そこで本研究は南崎におけるツヤオオズアリの分布と陸産貝類への影響を調査した.調査の対象として母島で普遍的に見られ,他の捕食者の影響の少ないハワイマイマイ科陸貝 Achatinellidaeを用いた.その結果,ツヤオオズアリは自然林内に広く侵入していた.また侵入地外ではハワイマイマイ科陸貝は多く見られたのに対して侵入地においてはほとんど見られず,10年前の密度と比較するとツヤオオズアリの侵入地では有意に減少していた.さらに飼育実験において陸貝の捕食が確認された.以上のことからツヤオオズアリは母島南崎において陸産貝類に捕食による多大な影響を与えていると考えられる.


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