| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-396 (Poster presentation)
路傍植生では刈り取り除草による撹乱が外来植物侵入の重要な促進要因と考えられる。また、車両による種子散布も外来植物侵入の重要な促進要因として考えられる。除草による撹乱や交通量が多い場所では、少ない場所よりも多くの外来植物が侵入・定着すると予測できる。富士山北側斜面には、交通量が多く除草管理の人為的撹乱が徹底されている富士スバルラインと、交通量や除草管理が少ない滝沢林道がある。本研究では両者の間で、(1)外来植物の種数やその標高に対する変化、(2)外来植物の種構成にどのような違いがあるかを明らかにする。
富士スバルラインでは標高857 m~2,305 m、滝沢林道では標高900 m~2,305 mで路傍植生を調査した。約0.5~1 km間隔で50 cm×5 mのトランセクトを道路と並行に設置して、40個の小コドラートに区切り、その中に出現した維管束植物を記録した。
在来種のトランセクト当たりの種数はどちらの道路でも標高に伴い減少する傾向があった。一方、外来種は富士スバルラインでは標高に伴い減少するが、滝沢林道では標高と無関係であった。次に、低標高(1100~1500 m)、中標高(1500~1900 m)、高標高(1900~2300 m)の種構成を道路間で比較した。在来種と外来種を合わせた全種および在来種は標高に伴って変化が見られなかったが、外来種は高標高で類似度が高くなり、種構成が似る傾向を示した。低標高、中標高での外来種の種数は、滝沢林道よりも富士スバルラインの方で多かった。
以上より、外来種の侵入は低標高では交通量・除草管理の影響を強く受けるが、高標高では低温などの環境の影響が卓越すると考えられる。