| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-397 (Poster presentation)
種間の雑種形成とそれに伴う遺伝子浸透は種の存続に大きな影響を与える。種間の雑種形成は在来種の繁殖資源の浪費や雑種による生育地の侵略などの個体群動態学的影響により在来種の個体数を減少させる。また、種間雑種が在来種と繰り返し戻し交雑を行うことにより遺伝子浸透が生じ、それにより在来種の遺伝的特徴が失われる恐れがある。遺伝子プールの小さな希少種はこの影響が大きい。そのため、希少種と外来種間の雑種形成および遺伝子浸透は希少種の保全に重要な情報である。日本に分布するモクレン科コブシ節にはシデコブシ、コブシ、タムシバが存在する。東海地方にのみ分布する希少種シデコブシの自生地付近に本来分布しないコブシが植栽され、シデコブシとコブシ間で雑種形成が行っていることがわかっている。また、シデコブシとの戻し交雑個体も確認され、コブシからシデコブシへの遺伝子浸透が生じている恐れがある。しかし、シデコブシとコブシおよびそれらの種間雑種が存在する複合体集団において、どの程度、種間交雑や戻し交雑が生じているのか定量的に評価されていない。そこで、本研究では核マイクロサテライト12遺伝子座を用いて、シデコブシとコブシの種子段階における雑種形成の頻度と遺伝子浸透の程度を明らかにすることを目的とした。