| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P1-398 (Poster presentation)
南アメリカ原産の外来水草であるナガエツルノゲイトウは、湖沼や河川の洪水・災害リスク要因となっている。さらに、ナガエツルノゲイトウは水田にも生育範囲を広げつつある。従って、湖沼・河川からの駆除に加え、河川から水田、水田から河川への拡散ルートを特定した上で、河川、水田それぞれの立地で適切な駆除および拡散を阻止する対策が求められている。
本研究は、印旛沼流域の治水上重要な機能を担う大和田排水機場を有する新川とその支流である桑納川流域に着目し、河川から水田域への侵入および拡散が農業用水を汲み上げる揚水ポンプを通して行われているかどうかを明らかにした。
2015年6月22日から9月4日まで、桑納川沿いの水田域において、行政区画に従い6地区に調査範囲を設け、ナガエツルノゲイトウの在不在を記録した。そして、地区ごとの在地点数と水源別範囲図の対応度合を一般化線形混合モデルによって評価した。
ナガエツルノゲイトウの群落が確認されている新川から用水を汲み上げている桑納・麦丸地区の水田域では、789地点の在不在データの内、512地点と多くの地点でナガエツルノゲイトウが生育していた。一方、取水口の上流域にナガエツルノゲイトウの群落がない場合では、水田域の生育確認地点数724地点中45地点と非常に少なかった。この結果から、水田域のナガエツルノゲイトウは、河川における群落が農業用水の取水口の位置よりも上流域にあること、用水がその水田に配水されていることの2つの条件が重なることで生育していることが示唆された。