| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-170 (Poster presentation)

北方林における優占針葉樹3種の肥大生長に関する樹種特性

*西村尚之,菊池明日香(群馬大・社会情報),赤路康朗(岡大院・環境生命),原登志彦,隅田明洋,長谷川成明,小野清美(北大・低温研),加藤京子(大沼流山森づくりNW),坂本圭児(岡大院・環境生命),松井淳(奈教大),真鍋徹(北九州自歴博),鈴木智之(東大・秩父演)

北海道に成立している北方針葉樹林の主要構成樹種は,トドマツ,エゾマツ,アカエゾマツの3樹種である.これら3樹種の個体群動態や生長特性の違いは,林床入射光,定着基質,林冠状態,樹木間競争などから説明されてきた.一方,近年の急激な気候変動が北方針葉樹林の樹種共存に及ぼす影響を明らかにするためには,これら3樹種の長期間の肥大生長特性についての情報が必要である.そこで,本研究ではこれら3樹種の肥大生長パターンの相違を明らかにすることを目的として,大規模撹乱により成立した成熟途中相の北海道東大雪にある北方針葉樹二次林に設置した面積1ha調査区内において,樹高≥1.3mの幹を対象とした毎木調査を2006,2009,2014,2015年の計4回実施し,同時に調査区内の5m×5m区画の林冠状態(閉鎖またはギャップ)を記録した.各樹種の肥大生長パターンを解析するために,樹冠位置から林冠木と下層木に区別して各期間における樹種ごとの胸高直径生長速度を算出した.その結果,全ての樹種および階層において2007-2009の期間に比べて2010-2014の直径生長速度が低くなり,特に,エゾマツの林冠木でその傾向が顕著であった.そのため,トドマツとエゾマツとの肥大生長速度には期間による大小の差異が生じることがわかった.2007-2009の各年の生長開始期の気温は2010-2014に比べて高かったことから,このような気象条件が各樹種の肥大成長パターンに影響を及ぼした可能性が推察された.


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