| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-221 (Poster presentation)
海や河川の生態調査は、水中を泳ぐ魚の観察や捕獲などを行うため、多くの労力と多額の費用が必要になる。また高度な専門知識と経験が必須であり、専門の研究者以外は、こうした調査を行うことが非常に困難である。同様に、魚類や海獣類の食性調査は、専門家が腸内に残る耳石の形態観察などを行うことで餌生物の同定を行っているのが現状である。最近になって、次世代シーケンサーを使用して水中を泳ぐ生物から分泌される体液や糞便などから成る「環境DNA」や捕食者の腸内に残る「餌生物由来DNA」を解析することで、専門的な知識や経験がなくても河川に生息する生物種や餌生物を容易に推定できるようになってきた。
私たちは、水環境や腸内のDNAをいくつかの種類のプライマーを用い増幅した後、次世代シーケンサーMiSeqを使用して解析を行った。一方で、腸内のDNAのほとんどは、ホスト由来のDNAであるため、餌生物由来のDNAを検出することは困難である。そのため、本研究では、修飾オリゴを使用することで、ホスト由来のDNAの増幅を抑制し、餌生物由来のDNAを効率良く検出した。本発表では、相模川や相模湾の生態調査、そして魚類の食性調査を例に議論したい。