| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-239 (Poster presentation)
コンブなどの海藻藻場やアマモ場などに代表される沿岸生態系は高い生物多様性を示し、また高い生態系機能を有している。しかし近年の地球温暖化、海洋酸性化等によるそれら生態系機能の劣化が憂慮されている。そのため、沿岸生態系の特徴を多面的に評価し、重要な保全地域を選定することで今後の気候変動に対処することが必要となっている。本研究では海洋生物データベースBISMaLに登録されている1951年から1990年までのコンブ目の出現データをもとに、5㎞グリッドに区切った日本全国の沿岸海域を対象として、唯一性、希少性、脆弱性、生物学的生産性、生物学的多様性、自然性の6つの基準をもとにThe Ecologically or Biologically Significant Areas (EBSA) の選定を行った。その結果、北海道沿岸にEBSA候補地となる場所が比較的多く見られた。またそれ以外の地域は、統合方法によって異なり、全国に均等に候補地が分布する場合と三陸・紀伊半島・山口から長崎にかけて候補地が集中する場合があった。本講演ではさらにIPCCによる複数のRCPシナリオに沿った海水温の変動に伴うコンブ目各種の将来の分布予測をもとに、コンブ目海藻の保全上重要な海域の選定方法について議論する予定である。