| 要旨トップ | 目次 | | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨 ESJ63 Abstract |
一般講演(ポスター発表) P2-241 (Poster presentation)
種間交雑や遺伝子浸透は,自然界において決して例外的な現象ではなく,表現型の多様性の創出に大きく関与してきたことが明らかにされつつある.しかし,霊長類のような大型野生動物において,種間交雑がどのように進行し,表現型にどのような影響を与えたのかについての知見は乏しい.本研究は,外来種タイワンザルと在来種ニホンザルの交雑群に由来する骨格標本および遺伝試料を対象に,以下の研究を行った.まず,交雑様態を明らかにするために,RAD-Seqによりゲノムワイドに一塩基多型を探索し,両親種に由来するアリルの頻度とヘテロ接合率を調べることで各個体の交雑度と交雑世代を推定した.次に,頭蓋形態を定量的に計測し,その相対成長の軌跡が両親種に比べて交雑個体でどのように異なるのか,また交雑の程度によってどのように変化するのかを調べた.本発表ではこれらの結果をもとに,形態的多様化における種間交雑の寄与について議論する.また,形態関遺伝子多型の探索や外来種モニタリング手法の検討を含めた今後の展望について紹介したい.