| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-244 (Poster presentation)

景観区分に着目した新しい生物多様性地域戦略の可能性

増澤直*,荒尾章子,Chen Siew Fong,彦坂洋信(株式会社地域環境計画)

生物多様性国家戦略では、愛知目標年である2020年度までの重点施策として、生物多様性を社会に浸透させること(主流化)、科学的基盤を強化し政策に結び付けること等を掲げている。生物多様性の諸問題の解決には、私たちの生活との結びつきの深い基礎自治体での取り組みが重要であり、その施策の柱となるのが「生物多様性地域戦略」である。

一方、この地域戦略の策定状況を見ると、都道府県や政令指定市では7割を超えているが、その他の市区町村については全体の2.7%(平成27年3月)と、極めて少ないのが現実である。策定が遅れている原因には予算上の問題や関連施策との整合性をとる必要性など、様々な原因が挙げられるが、生物多様性の諸課題の緊急性が人々の生活と直結する身近な問題として実感されていないことが一つの原因として挙げられる。

今回の発表では、東京都内62市区町村による連携・共同事業「みどり東京・温暖化防止プロジェクト」の一環として実施されている、都内62市区町村の地域特性を活かした「生物多様性地域戦略」の策定を推進・支援するための研究の取組を紹介する。これは、生物多様性の基盤となる地域の自然的特性や景観をベースに、自治体単独または共同の「生物多様性地域戦略検討モデル」を作成しようというものである。研究は都内の多くの自治体職員が参画して進められており、それぞれの地域の生態系の特徴や共通性を踏まえ、基礎自治体発のアイディアを盛り込みつつ、生物多様性の浸透や地域振興へつなげるボトムアップ型のアプローチである。


日本生態学会